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北条にて 後編

こんにちは。理工学群4年の畑山公希です。

一つ目の記事ではランドスケープの観点から旧矢中邸の庭園について書きましたが、この記事は北条を私の専門である都市計画にからめて書いていこうと思います。



北条という地域はこのような歴史的な建物が数多く残されており、観光などに活かそうという取り組みが見られました。ふれあい館などは観光客が情報を得るのにうってつけの場所であり、地区の入り口にある「ふれあいの郷 北条」の通り現地の人とのふれあいから得られる旅の楽しみを体験することができるのは有名な観光スポットがあること以上に北条地区の強みであると感じました。私は昨年、土浦市役所のインターンシップに参加したのですが、土浦市も歴史的な町並みを一つの観光の強みにしているのですが、保存と観光資源としての活用を両立することは難しいと聞きました。



その点、旧矢中邸では積極的に活用を行っており、会議、結婚式、映像撮影、演劇の舞台などとしても使われています。洋風なつくりとなっている別館ではNHKの朝ドラマの撮影も行われており、実際に私が訪れた際にも本館で何らかの撮影が行われておりました。旧矢中邸の中の間仕切りに書かれている絵、ふすまは当時から存在するものでしたが、全くといっていいほど汚れていませんでした。天井に通気口が多くつくられており、空気の循環が起こりやすいようなつくりになっていることが要因の一つであると考えられますが、活用を積極的に行うことでかえって保存にも良い影響を与えているのではないかとも考えました。



町の住民の努力によって、このような町並みが保存され、活用されていることはもちろんなのですが、外部からの方々の協力もあることが分かる写真が上の写真です。これは登録有形文化財の宮本家住宅の門から見える景色です。門から見える筑波山が目の前の常陽銀行の屋根によって遮られています。宮本家住宅が建てられた当時、門を開けたときにこの景色が見えるようにこの場所に門を設計したそうですが、現在はその景色を再現することができなくなっております。しかし、よく見てみるとこの屋根はそり上がるようにつくられています。直線上につくるのではなく、このようにすることで筑波山が見える景色をできるだけ残そうという意図が感じられます。下の写真は郵便局であった建築物をカフェに改修したものです。オーナーの方は北条出身ではないのですが、その造形を気に入り、カフェとして改修し、活用しているようです。この建築物も有形文化財に登録されています。

まちが発展する以上、このように新しく建物が建設されること、建物の用途が変化することは仕方のないことですが、その中でもできるだけ当時からの風景や雰囲気を残したまちづくりが行われていることが感じられました。


今回、訪れた際、まちに提灯が多くぶら下げられているのが目にとまりました。前回訪れたときにはなかったため、気になり調べたところ、毎年七月の第四土日に夏祭りが行われているようです。今回も思ったより観光客が多く、ふれあい館の外にまでも人が集まるような状態でありました。旧矢中邸のガイドさんによると、どうやら旧矢中邸が朝ドラで使用されたこと、重要文化財に指定されたことで特に旧矢中邸が開館している土曜日に人がよく来るそうです。第四土日は7/29,30ですが、この日には例年以上に参加者が多くなり、活気が溢れる良い祭りになるのではないかと思いました。


これで終わりです。お話聞かせていただいた方々ありがとうございました。

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