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上郷の生物多様性〜野鳥の観察から〜

こんにちは、生命環境学群4年の和田真由子です。


今回私は、つくば市の上郷という地域の野鳥の観察をしてきました。


上郷といえば、芝の生産が有名な場所です。

つくば市の芝生産量は全国1位で、50%以上の芝がつくば市で生産されているそうです。

つくば芝の特長は、強靭さだそうで、夏の酷暑と冬の筑波おろし(筑波山から吹いてくる冷風)を耐えて育つからだといわれています。


今回はその上郷を含むエリアで、野鳥の調査のお手伝いに行ってきました!


私は、森林生態環境学研究室というところで、生態学を専攻しています。

実際にフィールドワークを行い、動植物がもたらす相互関係や、彼らが環境の変化にどのように対応するのかを調査しています。


今回は、同じ森林生態環境学研究室の並木大斗くん(生物資源学類4年)と一緒に調査をしました。

野鳥の調査は、自転車で道を走っている最中に、鳥の姿が目視できたor鳴き声が聞こえたところで、GPSで位置情報を記録する形式で行います。

自転車を使うのは、車だとエンジン音で鳥の鳴き声が聞こえないためです。


この日は気温36度、茨城県で最初の真夏日でした…

暑さのなか、自転車でひたすら鳥を探す旅に出ました。


この画像が実際に記録したGPSの一部です。

地図上のフラッグがある場所で野鳥を観測したことを意味しています。


これは上郷に限ったことではないのですが、野鳥の種類が多く、個体数の偏りが少ないので、生物多様性が豊かであることがいえます。

なぜ鳥の個体数を測るだけでつくば市全体の生物多様性が推測できるのか、それには以下のような理由があります。

もし特定の野鳥の種が多くなると、餌となる昆虫が激減し、そのぶん他の昆虫が増える。その増えた昆虫は他の虫や植物に影響を与え…というように、生態系のバランスが崩れてしまうからです。

したがって、上郷など各地域の野鳥を観測することで、つくば市全体の生物多様性の豊かさを見ることがるというわけです。

野鳥の多様性が、生物多様性の豊かさの指標のひとつとなっているとも言えます。



つくば市は開発が進む一方で、中心部から離れた場所では野生動物の生育に適した場所が残っていて、生物多様性が豊かなまちです。

画像の通り、上郷地域でも野鳥を観測できました。


今回は、一眼レフで撮影したお気に入りの写真と一緒に紹介します!

これはヒバリです。

生産されている芝生の上を歩いているところを、奇跡的に撮影できました!

淡黄褐色で頭、体の上面、翼、胸には黒い縦斑があり、耳羽は赤褐色をしているのが特徴です。丈の低い草地を好適地としています。

ヒバリはユーラシア大陸、アフリカ大陸の北部、イギリスなど広範囲にわたって生息していますが、日本に限らず世界的にも減少傾向にあります。

それは、ヒバリが好む丈の低い草地が減少しているからです。

しかし上郷では、比較的多くの個体数が観測できました。

上郷の芝畑が、ヒバリのよき生息地となっているのですね。


これはオオヨシキリという鳥です。

頭から背、翼の上面、尾の上面は淡褐色をしていて、下面は黄白色、腰は淡色です。口元にひげがあります。

ヨシというイネ科の植物がある環境を好み、数本の茎を束ねて巣をつくります。

小貝川沿いの湿地にヨシが群生しているので、そこで見つけることができました。

鳴き声が大きく、「ギョギョシ、ギョギョシ」と鳴くさまは夏の風物詩とも言われています。夏の季語の「行行子」も、オオヨシキリの鳴き声が由来です。


これはホオジロという鳥です。

全体は赤味のある褐色で、背には黒色の縦斑があります。

オスの顔は白と黒の模様で眉斑と頬線は白色で、襟は灰色です。メスは顔に黒色はほとんどありません。今回見つけたのはオスのホオジロです。

ホオジロは高い場所を見つけて、胸を張ってさえずりをする習性があります。写真はまさにその瞬間を撮影したものです!

日本では平地から山地の草地、農耕地、牧場や林縁などに生息しています。


最後に、セッカです!

スズメによく似ていますが、スズメよりも体が小さく、尾はくさび型で先が白いのが特徴です。

体は淡い褐色で、頭から背、翼の上面には黒褐色の小縦斑が多数あります。冬になると体が黄褐色に変化します。

日本では背の高い草地、ススキ草原などをすみかとします。

面白いのが、クモの糸で草をまとめて、巣をつくる習性です!

主に、草原にすむ昆虫類やその幼虫を捕食します。

上郷では、芝畑周辺や小貝川沿いのヨシの周りで見かけることが多い印象を受けました。



いかがでしたでしょうか?

上郷には多くの種類の野鳥が生息していて、上郷の芝畑と小貝川という地域独自の環境が、さまざまな動物のすみかとなっていることがわかりました。


私は生命環境学群で「生物資源学」を学んでいますが、芝というまさに地域の「資源」を、人間も動物も使っているということを実感できました。

このように、地域の資源が人間活動と自然の両方に生かされているモデルを、ここ上郷では見ることができます。

上郷を訪れる際は、ぜひ芝畑に行って野鳥を探してみてください!



参考資料


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