「住みやすい街」って何だろう

こんにちは。筑波大学理工学群社会工学類都市計画主専攻2年の小松諒治です。


今回は前回に引き続きつくば市高見原に焦点を当て、実際に現地で地域の方々に取材してきた内容に基づいて高見原地区の住みやすさについて様々な視点から迫っていきたいと思います。



高見原について


私はどのような層の方が本記事を読んでくださっているのか見当もつかないまま執筆をしているわけですが、きっと本記事をお読みになられている方の中には「つくば市高見原」と聞いても場所がわからないという人もいることでしょう。そこでまず高見原という場所について簡単に説明したいと思います。


つくば市高見原はつくば市のほぼ南の端、牛久市に隣接する地域に位置しています。つくば駅よりもJR常磐線の牛久駅の方がアクセスが良く、もともとは常磐線沿線のベッドタウンのひとつとして開発されたという経緯があります。


ベッドタウンとして開発が始まったのは1970年代のことで、それまで周辺の高崎や大井の集落からは「『原』のつくところには住むな」と言われていたほどの土地だったといいます。地域に昔から住む方によると、開発前の1970年頃は現在の高見原の範囲には家が60軒ほど(現在は2400世帯ほどが居住)しかなく、地区内のメインストリートといえる県道143号谷田部牛久線も1973年までは未舗装だったということです。


今回はこの高見原地区について、3つの面から住みよさに迫っていきたいと思います。



街区構造


ここでは高見原地区の道の構造から、この地区の住みやすさについて検討していこうと思います。

この地区は1970年代にベッドタウンとして開発されたという経緯をもつものの、街区自体は決して都市計画に基づいているものではありません。もとからあった未舗装の県道をもとに街が作られていったという経緯があり、特に高見原4丁目の街区構造からは昔の集落の痕跡ともいえる街区の構造が窺えます。

この街区構造がもたらすメリットとして、通過交通が少なくなり歩行者に優しいまちになるということが挙げられます。実際に私が高見原4丁目を訪れた際も県道に出るまでは一度も車に遭遇せず、自由に散歩することができました。


高見原4丁目の風景、散歩に最適ですね(筆者撮影)。


この地域に住んでいる方も、高見原地区(特に4丁目)は散歩に適している場所が多いと語っており、私自身も実際に歩いて実感しました。取材に訪れた日は晴天にも恵まれ(とても暑かったです)、上のような素敵な写真も撮ることができました。


散歩にはまちづくりという観点においても非常に大きなメリットがあります。散歩している人同士でのコミュニケーションの活性化などはもちろんですが、道に人の目が配られることで犯罪の抑止等につながるという側面もあります。



また高見原2丁目を東西に貫く道のうち、Bastilleさんが面しているこの道は、元の道幅から拡張したということあり住宅地としては非常に幅が広く、とても落ち着いた景観になっていると感じました。



高見原2丁目のレストラン、Bastille(バスティーユ)さん。 とても美味しかったです。



高見原2丁目の道。幅広くゆとりを持たせることで落ち着いた印象を与える。




都市計画図から読み取る住みやすさ


私自身が高見原地区を歩いていて、つくば市の中心地には見られない、言葉にできないような安心感があると感じました。取材の際にはこの正体はわからなかったのですが、帰宅してから都市計画図を見ると、その正体がわかったような気がしました。


高見原地区の都市計画図(つくば市HPより)


これを見ると、高見原地区の大多数の地域は「一低」と記された濃い緑の範囲に覆われていることがわかります。「一低」とは「第一種低層住居専用地域」を指していて、この地域では建築物に対して最大で12mの高さ制限が存在します。そのためにあまり高い建物が存在せず、街全体の景観としてもいい状態が保てるのです。私がこの地区の景観に安心感を憶えたのもここに理由があるのではないかと考えました。


高見原4丁目付近 全体的に低層の建物が並び、景観として安心感がある




高見原と子育て世代


今回の取材の中では高見原地区に移住してきたという子育て世代の方にもお話を聞くことができました。その中で出てきたメリットとして、世代を超えたコミュケーションが活発で、地域全体で子どもを見守ってくれている安心感があるというものがありました。これは転入転出が激しい都市部の住環境ではなかなかないのかもしれません。地域全体で子どもを見守り育てるという感覚があると、育てる側としても安心感があるのではないでしょうか。


一方現在この地区では、子どもの人口減少、高齢化が深刻となっており、今回お話を伺った方も同年代の子育て世代の知り合いがあまりいないことを危惧していました。今後もこの傾向が続くと、少子高齢化の悪循環にのみ込まれてしまう可能性もあります。






私が今回取材を通して、地域の住みやすさの根底には地域の人々のつながりがあるのではないかと感じました。まちづくりという視点にて街を考えるときにも、いかにして人々の交流をもたらすか、街の中にいかに交流の場をもたらすのか、そんな視点から考えられれば良いのではないでしょうか。