栄の人々と歴史が生み出したランドスケープ~花のロータリー/ 鹿島神社の不思議~

こんにちは。理工学群社会工学類2年の竹内真雄です。

2021年9月,「おすすめ1日お出かけプラン」の体験も兼ねて,つくば市の栄地区へ散策に行ってきました.

この記事では,栄のまちを歩いて新しい発見があったランドスケープを2つご紹介したいと思います.


①花と緑の松栄団地バスロータリー

つくばセンター(TXつくば駅)から,つくバス・小田シャトルに乗車し,松栄団地で下車しました.以前からここをバスで通るたびに気になっていたものが,こちら↓

松栄団地の南端にあるロータリーの真ん中に,色とりどりの花々が植えられた円形花壇があります.

この緑化活動は,「松栄ロータリークラブ」が,つくば市の「アダプト・ア・ロード」という制度をもとに行っているようです.市民を「里親」,道路を「養子」と見立てて,自治会や子供会などが愛情を注いで環境美化を行うことを支援するというものです.具体的には,市側が用具の提供やごみの回収を行っています.

このような活動を行うことで,住民同士の交流が深められ,地域コミュニティの発展につながることから,景観と地域の人々双方にメリットがある取り組みだと思います.また,このロータリーはバスに使われることが本源的な目的であるため,自家用車ではなくバスでお出かけしようという動機にもなり,地域公共交通を維持するという面でも有効であると感じます.


余談

バス停の横には,お花の形をした街灯が立っていました.

ロータリーの花壇と関係があるのでしょうか.

よく田舎町の中心街にあるような,昭和レトロな街灯ですね.

底が苔むしているところも時代を感じさせます.夜の様子も見てみたいです.

いろいろな街で街灯を見比べるのも面白いもので,地域の特徴を反映し,その土地の名産品をあしらったものや,歴史的景観に合わせて灯籠のような形をしたものもあります.

つくばのR8でも,それぞれの地域で違った形の街灯を見ることができます.

こちらはつくば市上郷の街灯です.(2021年5月撮影)

ガチャガチャのカプセルのようで可愛らしいですね.


皆さんも,どこかの街を訪れた際に,街灯を見上げてみてはいかがでしょうか?



②栄地区にはなぜ鹿島神社が多い?

地図を見ていてふと気になったことが,栄地区における「鹿島神社」の多さです.

Googleマップで検索をかけると,栄の近辺で少なくとも5つの鹿島神社があることが分かりました.

出典 Googleマップ(https://www.google.com/maps)


では,なぜ栄には鹿島神社が多いのでしょうか?


その手掛かりは,古代までさかのぼります.

鹿島神社の総本社は,茨城県鹿嶋市にある鹿島神宮です.鹿島神宮は神武天皇元年に創建されたとされ,神武天皇を戦の窮地から救ったとされる武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)が祀られています.

鹿島神は,航海の安全を守り,悪霊を追い払う軍神・武神として信仰されてきました.

栄地区周辺では古墳時代になると,大和朝廷が開拓統治を始めます.このとき,このあたりに渡来人が居住し,軍事や産業の技術を持ち込みました.大和朝廷は,軍神としての鹿島神の威光をもって,東国,東北の開発を進めようと,崇拝していたようです.


栄地区に鹿島神社が多いのは,この周辺の軍事力が強化され繁栄することを願ってのことなのかもしれません.


実際に鹿島神社を訪れると・・・

今回は,先ほどの5つの鹿島神社のうち,最も北側にある松塚の鹿島神社に行ってみました.

目の前に社殿がありますが,奥側が少し盛り上がっています.

これは松塚1号墳という古墳で,今から1500年以上前に築造されたと推定される前方後円墳です.大和朝廷の影響を受けた「筑波のクニ」の有力者のお墓でしょうか.

社殿の横には,このような巨木が植わっています.時代を経ても大切に保たれていますね.

古墳の数はコンビニの数よりも多いという有名な話がありますが,特に近代以降の都市化により,壊されてしまったものも少なくないのが現状です.


筑波研究学園都市の開発の波を免れたR8だからこそ,このような歴史や文化が大切に受け継がれていることを肌で感じ取ることができました.



まちを歩くと,いろいろな風景やモノに出会います.

しかし,ただ自然に成立したものではないものがほとんどでしょう.

ランドスケープの裏側には,地域の歴史や人々の努力があったということを実感しました.


またこれからは,まちを歩いていて気になるものを見つけたら,なぜそれがそこに存在しているのか,探求してみたくなりました.


最後までご覧いただき,ありがとうございました.



参考文献

・鹿島神宮ホームページ.http://kashimajingu.jp/about .最終閲覧2021.9.6

・桜村史編さん委員会(1982).桜村史(上巻).桜村教育委員会

・荒友里子(2012).調査報告ー茨城県つくば市金田古墳の測量調査.筑波大学先史学-考古学研究第 23号.

・日本史広辞典編集委員会(1997).鹿島信仰.日本史広辞典.山川出版社.

・鈴木靖民(1988).渡来人.世界大百科事典.平凡社.