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たまたま祭りがやっていた~3年ぶりの開催「谷田部祇園祭」~

 こんにちは。芸術専門学群2年の許松香です。

 私が谷田部に訪れた7月15日の土曜日は、ちょうど谷田部小学校の付近で「谷田部祇園祭」が開かれていました。

 コロナの影響で、出店やキッチンカーなどを設けた大々的な開催は3年ぶりらしく、たくさんの地域住民が祭りに参加しており、インタビューも非常にはかどりました。

 今回は、ランドスケープデザイン論第3回の授業において、ランドスケープアーキテクトが活躍する分野のうちの、「観光の振興と推進」、「伝統の継承」、「地域コミュニティの結成」という3つの分野から谷田部の祇園祭を見ていこうと思います。




 谷田部は、江戸時代の頃に九州の大分を本拠地とする細川氏の分家として城が建てられた地域だそうです。参勤交代に行くのにここつくばの谷田部が一番条件が良かったみたいで、別宅のようなかたちで谷田部城が建てられました。

 そして、江戸時代の後期ごろ、疫病が流行るなどよくないことが起こったため、神社を建てて神を祀ったのですが、この「八坂神社」が「谷田部祇園祭」の神輿のお社です。

 このお話は、「真瀬共同芸能保存会」という、祇園祭のためにお囃子をしにいらっしゃっている人たちのリーダーの方が教えてくださったのですが、本当に生き字引のような方で、「詳しくは違うかもしれないけど…」とおっしゃいながらも、どんどんとコアなところまで細かく話してくださいました。




 上の写真の奥に見えるのが神輿、手前でお囃子をしているのが「真瀬共同芸能保存会」の方々で、横笛を吹いているのが先ほどの生き字引のような方です。

 話しているときは陽気なおじさんたちといった印象を受けるのですが、お囃子をしている様子はさすがプロフェッショナルとでもいうのでしょうか、非常に迫力がありました。

 皆さん生まれも育ちも谷田部のようで、「俺が小学生の時はここら辺何にもなかったよなぁ」や、「映画見るのも20円くらいだったよなぁ」という昔話もおもしろおかしく話してくださいました。

 しかし、現実問題、現在は組織の高齢化が進行しており、「筑波の学生も勧誘しといてよ」とのお言葉は割と本気だったのかもしれません(笑)。

 



 今回のお祭りは、やはり3年ぶりの開催ということもあってか、かなりたくさんの人が祭りに参加していました。

 開催場所としては小学校の近くだったため、参加者は小中学生が多く、交番の隣では紙芝居が行われており、子供限定に無料でアイスが配られていました。

 実際に町を歩いていても、世帯で住んでいる方が多いような印象を受け、この祭り自体も「観光の振興と推進」はもちろん、「地域コミュニティの結成」という側面が大きいのかなと感じます。

 一人からお話を聞いていると次々に人が集まって来て、気づいたら5、6人で様々なことを話してくださいました。谷田部の議員の方もいらっしゃったときはさすがに驚きましたが、町の人々と非常に気安く会話していて、こういった部分からも谷田部の横のつながりを感じ取ることができます。




 ところで、祭りに参加していると、谷田部の人はみな知り合いなのではないかと思うくらいに私たちが取材に来ていることが広まっており、なんと神輿を担ぐ体験までさせてもらえることになりました。

 一番前で白の長袖を着ているのが私です。

 神輿を担いで進むのは目で見て想像するよりも難しく、何度も左右に蛇行しそうになるのを、神輿の外側にいる人が調整しつつリズミカルに進む必要があります。

 まさか自分の人生において神輿を担ぐ機会があるとは思ってもみませんでしたが、「わっしょい」という声掛けの重要性を身をもって実感することができました。

 こうした伝統がコロナ明けをきっかけにまた復活したようですが、「祇園祭」をもって谷田部の歴史が紡がれていく様子は非常に趣のある光景でした。




 写真は、たくさん歩き疲れて帰りのバスを待つ間に飲んでいたブルーレモネードです。

 本当にこの日に祭りが開かれていたのは偶然で、ランドスケープの面でも熱中症対策の面でも、私にとっては非常に運のよい状況でした。

 現地の人にインタビューをするということは今まで一度もしたことがなかったので不安だったのですが、今回取材させていただいた方々は本当に気の良い人たちばかりで、皆さんとても親身になって答えてくださいました。

 また、この課題を通じて、現地に訪れる重要性をよく理解することができました。ネットで調べるだけでは分からない現地の空気や温度感、人同士のかかわりを知って初めて、その地のことを調べたと言えるのでしょう。

 私が調べた谷田部は、町の人々のコミュニティによって伝統を繋いでいくとても素敵な地域でした。

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